aikoの『メロンソーダ』
春の新生活を音楽で応援するキャンペーン「FM802×TUTAYA ACCESS!」。
毎年多くのアーティストが参加するオリジナルキャンペーンソングを制作し、ラジオFM802で独占オンエアされる。
昨年はクリープハイプの尾崎世界観がキャンペーンソング『栞』を制作し、多くのロッックリスナーに支持された。歌詞やメロディーも最高なのだが、各アーティストへのフレーズの割り振りが抜群なんですよね。
尾崎世界観(クリープハイプ)、片岡健太(sumika)、GEN(04 Limited Sazabys)、あいみょん、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)、スガシカオ・・・
いやぁ、豪華すぎる!
そして12年目を迎える今年のキャンペーンソングはaikoが担当。
同キャンペーンでは初の女性アーティストになる。
FM802 × TSUTAYA ACCESS! 『メロンソーダ』Radio Darlings Music Video
参加アーティストはaiko、谷口鮪(KANA-BOON)、橋本絵莉子(チャットモンチー済)、上白石萌歌、はっとり(マカロニえんぴつ)、藤原聡(Official髭男dism)。
KANと秦基博がコーラスで参加しているあたりが贅沢すぎる。
個性豊かなボーカルたちの歌唱は素晴らしいのだが、何度聞いてもこの曲はaikoのものなのだ。
いや、いい意味で。
だってaikoだもの
そうなのである。
イントロいいですよね。
FM802 DJ'sとしてラジオDJがクラップ参加しているのを見ると、みんなで曲を作ろうとしてるんだなって思う。
一番Aメロ、トップバッターは谷口鮪。
色っぽく甘く歌ってて、普段のKANA-BOONとは違った味が出ててとてもいい。
東京メトロ「Find my Tokyo〜中野編〜」のCMソング『陽』でのクリープハイプ×谷口鮪も「え、鮪ええやん。艶っぽいなぁ。」ってなった。
次いでBメロは藤原聡。
いい声してる、ほんとに。ただただ声がエロい。
髭ダンええぞ!って。
で、ここで初めて「メロンソーダ」というワードが出てくる。
「メロンソーダがビールになって ハンバーガーはハンバーガーのまま」
いいですよね、このフレーズ。
「メロンソーダがビールになって」という大人へと変わってしまった部分
「ハンバーガーはハンバーガーのまま」という子供のまま変わらない部分
どちらも悪い事じゃないんだってそう思える。
そして橋本絵莉子。
Bメロの藤原とサビのaikoを繋ぐ重要なポジションを担っている。
「ああ こういうの何て 言うんだっけ」というフレーズと共に。
そしてついにサビ、aiko!
「あぁ・・・うん・・・aikoの歌だぁ・・・」
いや、ほんとまじで。aikoがすべてかっさらってる。
そのあとも豪華メンバーがどんどん入れ替わって歌っていくのだが、aikoの出番になった瞬間
「ああ・・・aikoだあ・・・やっぱaikoだよ・・・」って。
尾崎世界観の『栞』はボーカルが入れ替わることでそれぞれの味を引き出している感じがする。『栞』がそれぞれの歌になっている。
aikoの『メロンソーダ』はどうしても耳がaikoを待ってしまう。
リレーでいうとアンカーのaikoまでをいろんなボーカルでつないでいく感じ。
でも全然悪くないのよ。
だってaikoだもの。
aikoが持つ魅力
まずは技術面でいえば感情のこもった歌唱と景色を切り取り言葉にするうまさだと思う。
感情のこもった歌唱というのは言ってしまえば演歌のような歌い方だ。
声の裏返し方、伸ばし方が非常に巧みだと思う。
だからこそ歌詞に感情をこめることができる。
aiko-『あたしの向こう』(from Live Blu-ray/DVD『ROCKとALOHA』)
この辺の歌い方はback numberの清水依与吏がうまく表現していると思う。
back numberがただの女々しい歌詞だけでは売れなかったと思う。恋愛の当事者が抱える感情を上手くメロディにのせている。
そして景色の切り取り方。これはもうaikoの専売特許である。
横顔とか髪の毛とか背中が目線がといった具合に、人と人のコミュニケーションにおける直接的な感情表現以外が読み取ることができる。ほんとに細かいところまで。
そして、aikoってほんとうにブレない女性だと思う。
365日、24時間aikoみたいな。
アーティストとしての世界観を作り上げ、aikoというキャラクターを演じている感じが全然しない。
アーティストが長期にわたって活動していると「変わってしまった部分」と「変わらない部分」というものが出てくると思う。それがaikoにはない。
(初期からのファンからしたら「それでも変わった部分はあるよ」と言われてしまうかもしれないが、世間一般的に認知されているaiko像というものは変わらないと思う)
夏フェスにaikoがあまり出ないのは不特定多数の人を相手にするよりも、aikoというアーティスト、一人の女性を愛してくれるファンを大事にしたいところからなのだろう。
楽曲提供もこれまで4曲しかしていない。共作のものもあるのでもっと少ないかも。
それくらいaikoは徹底されている。
こうして徹底されたaikoというアーティストが長く積み上げてきた世界があるからこそ、今回の『メロンソーダ』を聴くと既存のaikoワールドを想起してしまう。aikoの言葉をaikoのメロディでaikoが歌っている姿を。
唯一無二だから誰にもまねできないのである。
aikoという壁はかなり高い。
だからこそ今回『メロンソーダ』を聴いて安心した。aikoというアーティストは替えがきかないのである。
『メロンソーダ』はいい意味でどうしてもaikoの曲であり、それを多くのアーティストが曲に彩を添えてる。