rockinonman’s diary

邦ロックを中心にカルチャーを多角的に分析し発信しています。1人でも多くの方に面白いと思ってもらえるように頑張ります!

『MAGIC』は本当にback numberのアルバムなのか?

back numberの様子がおかしいぞ…

 「恋愛ソングといえば」でお馴染みのback number。

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彼らが3年3ヶ月ぶりに世に放つオリジナル・アルバム『MAGIC』を聴いて思ったことが…

 

 

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《恋愛ソングが少ない!!!!!!!》

 

back numberのアルバムといえばこれでもかと言うほど恋愛にまつわる歌が収録されており、常人であれば恋愛ソング胃もたれを起こすこと間違いなしなのだ。

 

しかし、なぜか今回のアルバムに関していえば従来のback numberらしい恋愛ソング盛モリのアルバムではないのである。

 

いや、確かに「オールドファッション」や「 HAPPY BIRTHDAY」といったドラマの主題歌として書き下ろされた恋愛ソングももちろんある。

 

新曲となる「雨と僕の話」は恋愛が終わったという無慈悲な事実を雨を用いた巧みな情景描写で歌っている。(これまでの曲とは違い、相手の女性の顔がほとんど見えてこない究極の失恋ソングでありこれまた素晴らしいのだが…)

 

だがしかし!

1曲目の「最深部」から始まり「 あかるいよるに」、「 ARTIST」、「ロンリネス 」、「 エキシビジョンデスマッチ」、「 monaural fantasy」、そして最後の「大不正解 」、、、

12曲中の7曲が恋愛以外を歌っている。

 

back numberはついに元カノのことが吹っ切れて恋愛を歌わなくなってしまったのか…

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そもそもback numberは恋愛を歌ってたのか

 いや、これに関しては間違いなく彼らは恋愛を歌っていた。ベストアルバム『アンコール』を聴いてもわかるように様々な恋愛を歌ってきた。

 

「花束」では恋人同士の不安を会話形式で巧みに描き、曲の最後を「僕は君が好きだよ」という究極的な愛の言葉で締めくくった。


back number - 花束 (Short ver.)

「高嶺の花子さん」では、どうせ僕なんか君の花子さんへの想いを脳内の世界だけで描き、何一つ行動を起こさないという恋愛ソングの新たな境地に至った。


back number - 高嶺の花子さん

愛する人への想いが変わらないまま終わる恋愛を<青いまま枯れてゆく>と表現したのは「ハッピーエンド」。


back number - 「ハッピーエンド」Music Video

 

恋愛の始まりや終わり、そもそも恋愛に踏み込めていない状況

清水依与吏の曲は多くの人の共感を生んできた。

 

でも、back numberが恋愛だけを歌ってきたかと言えば答えは『NO』だ。

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例えばアルバム『シャンデリア』でいえば「SISTER」、「泡と羊」、「東京の夕焼け」、「Liar」、「手紙」が非恋愛ソングにあたる。

シャンデリア

シャンデリア

 

 

ライブでは欠かせない曲である7thシングル「青い春」も非恋愛ソングだ。

 

back numberが一体どんなバンドなのかを定義づけた一枚は『ラブストーリー』だと思う。珠玉の12曲を総称してタイトル名に『ラブストーリー』と名付けてるあたりにback numberの覚悟がうかがえる。

ラブストーリー (通常盤)

ラブストーリー (通常盤)

 

 

 

「back numberが描くラブストーリーとはなんなのか」を。

 

そうなると非恋愛ソングである「聖者の行進」、「ネタンデルタール人」、「頬を濡らす雨のように」

この三曲は何を歌っているのか・・・

 

ラブストーリーとは人の恋模様だけを指しているのではない。

人が営む生活、愛すべき人生のことを指すのではないだろうか。

そこには恋もあれば失恋もある。

社会でもがく姿や成功者への妬みもあるだろう。

愛すべき人への応援歌や讃美歌。また愛はときに妬みに変わる。

 

つまりはback numberは恋愛を歌っていたわけではない。

彼らはずっと人間の感情を、愛を歌っていたのだ。恋ではなく愛を。

 

『MAGIC』とは・・・

back numberは昨年ドームツアーを行った。

7月29日 ナゴヤドーム公演を皮切りに、8月11日、12日 に東京ドーム、10月27日、28日 は京セラドーム大阪の3会場、計5公演にわたって開催された。

 

 

ドーム会場には何万人もの人がいる。

その一人ひとりには異なった背景があり違った暮らしをしている。

最大公約数で生み出す共感も素晴らしいが個人が大事にするもの、価値観というものは一つとして同じものはない。

 

そう価値観。

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『MAGIC』というアルバムタイトルは当初『価値』だったという。

いやいや堅苦しいなあ・・・(笑)

 

 ❝恋も愛も憧れも夢も信念も 呼び方が違うだけ 

  かかった人にだけ価値が生まれる 魔法の話❞

 

これは「あかるいよるに」の歌詞の一節だ。

あかるいよるに

あかるいよるに

  • back number
  • J-Pop
  • ¥250

これまで歌ってきた恋も愛も憧れも夢も信念も、すべては人それぞれの価値観だ。

なぜ人によって価値観が違うのか、それは魔法にかかったから。清水依与吏らしく答えを出している。

 

『MAGIC』はもしかしたら人によってback numkberらしさが足りないと思ってしまうかもしれない。

でもそんなことは一切ない。

一番大事なところ、一番深いところ、最深部はなにも変わってないのだから。

 

ベストアルバム『アンコール』でこれまでを総括し、『MAGIC』でより深いところもっと広い感情に向き合ったback number。

 


back number -「大不正解」Music Video (映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』主題歌)

最後の曲「大不正解」のあとには何が待っているのか。

『MAGIC』は次が楽しみになる最高にわくわくする一枚だ。

MAGIC(通常盤)

MAGIC(通常盤)