rockinonman’s diary

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【ライブレポート】JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート 「BASIN TECHNO」

JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート 

BASIN TECHNO2019年6月9日 さいたまスーパーアリーナ

 

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 2016年のメジャーデビューより遡ること4年、岡崎体育として活動を始めた2012年から何度も言霊として残してきた「さいたまスーパーアリーナでのワンマン」という夢が実現する時が来た。北は北海道、南は沖縄まで日本各地から集結した約18,000人のファンが開演を今か今かと待ちわびている。開演前の影アナは岡崎体育自身が務める。注意事項の読み上げではあるが、そこは岡崎体育。開演前から熱を帯びたファンを笑いで包み込む。さあ、時は満ちた。

 

 巨大な幕にシルエットが映し出されると、レーザーで「BASIN TECHNO」の文字が1文字ずつ胸に刻まれていく。「岡崎体育ですよろしくーー!!夢、叶えに来たぞーー!!」と万雷の拍手と歓声を誘い込みライブが始まった。まず挨拶代わりにという感じではなく“Open”でボルテージを一気に高め、「じゃんけんに勝った人だけ踊ってください」と笑いを誘いつつも観客を巻き込む“R.S.P”でさらに加速させる。夢の舞台で大迫力の音を鳴らせていることに大満足なのか、嬉しそうなにやけ顔が巨大スクリーンに映し出されるとクスクスと笑い声が起きながらも祝福の拍手が送られる。

 

 ここで岡崎体育から各メディアで予告していた会場内にある3つの違和感について答え合わせが行われた。①センターステージへの花道が平均台並みに狭い、②センターステージに飾られているのが花ではなくエノキ(驚くことなかれ、エノキとはあのエノキである)といった具合に経費を削れるとこは削っているのだという。そして最後の一つはなんと会場の運営スタッフに藤木直人が紛れ込んでいたのだ。さいたまスーパーアリーナで悪ふざけが過ぎるし、藤木直人の無駄遣いがひどい・・・笑

夢の舞台の秘密のギミックが明かされたとこで、「みんなでうんぱっぱしましょう!」と“感情のピクセル”が炎を吹きながらパフォーマンスされ、続くは歌詞に「埼玉が俺を呼んでいるんだ」というフレーズが登場する“からだ”。“Naked King”では「心のキレイな方のみ聴き取れる周波数でパフォーマンスしております」とスクリーンに映し出される。残念ながら心が汚いのか岡崎体育の美声は聴き取れなかった。もしあの会場にいた人で聴き取れた人がいたら是非教えていただきたい。

 

 “FRIENDS”では関係者席にいるであろうバンドへ向けて、テクノポップペンギンの盟友「てっくん」とさらには会場にいる約18,000人のファンと共に「バンドざまあみろ」を食らわせる。片耳のイヤモニがうまく入らないということで「てっくん」の魂が抜ける(右手から抜け落ちただの布切れになる)衝撃の瞬間を目撃してしまったのはここだけの話。占いの歌詞が12星座すべて新しく書き下ろされた“Horoscope”が披露されたところで第1部の幕が下りる。

 

 第2部へ向けて準備が行われる中、スクリーンに映し出されるは「岡崎体育とバーチャル食事デート体験」。さいたまスーパーアリーナの巨大なスクリーンで岡崎体育とのバーチャル食事デートが体験できるのだから8000円のチケット代が安く感じる。会話の内容はこうだ。「彼女はハワイで法外的な料金設定のウクレレ教室を開こうとしている。90分で14000円。しかも岡崎体育の名前を使って。」。何の話をしているんだと思われるかもしれないが、会場に居ても同じだから安心してほしい。

 映像の最後で岡崎体育は彼女にさいたまスーパーアリーナでのライブの演出について相談する。彼女の提案に「それ絶対いい」と太鼓判を押すが、第2幕はどんな演出で幕を開けるのか・・・ 

 

 

 天井から吊るされてきた。“今宵よい酔い”を歌いながら、ジャニーズ張りにワイヤーで吊るされて出てきた。もう違和感しかないのだが、この後も岡崎体育印のおふざけは続く。センターステージへ移動したのちに披露された曲は“Voice of Heart”である。この曲実は2番以降の歌詞が出てこないという歌なのだが、まさかの2番以降に待ち受けるは中央がせり上がる演出。正統派のバンドなら感動的な演出になるはずなのだが、岡崎体育はあえてその逆をいく。再度登場した「てっくん」は、この日会場限定販売のシングルでデビューした“フェイクファー”(見事オリコンデイリーランキング1位を獲得!いや、CDがリリースされない日に20,000人規模の会場で売ったのだから必然的なのだが・・・笑)を披露。相変わらずくだらねえなあと思っていたらついにライブ初披露となる“スぺツナズ”や、さいたまスーパーアリーナ公演をラジオで発表した夜に作られた“龍”を鍵盤で弾き語ったりと音の力で我々を魅了する場面もあった。

 

 

 第3部ではアイドルのライブかと見間違うような、煌びやかにLEDライトが光るゴンドラに乗ってアリーナを周回する。しかし、誰も知らない初披露曲“ゴンドラに乗って”のせいで何とも言えない空気になるし、「みんな歌って!ねえ、歌ってよ!」と言われても歌えるわけがない。残り半周は映像化を見越したオーディオコメンタリー風の語りで会場を笑わせる。文章にするといったい何をしているんだの突っ込みの嵐だし、実際会場にいる人たちもそうなのだがここにライブの凄さがある。岡崎体育のエンターテイメントには限界がないのだろう。

 

 ビジュアルがいいわけでもないし、バンドを組むこともできなかった盆地育ちの彼がさいたまスーパーアリーナで超満員のライブができたのはあらゆるものを笑いに、感動に、エンターテイメントに変えてしまう力があるからだ。“FRIENDS”という曲一つとってもそうだが、バンドに対する妬みを歌っているものの誰よりもバンドを愛しているからこそ成り立つ。純粋にバンドが、音楽が、ポップカルチャーが大好きなのである。音楽活動を続けてきてよかったと語った後に披露されたのは、ポケモンの主題歌に起用されている“ポーズ”、“キミの冒険”の特別メドレー。近くにいた子供が曲に合わせてZ技ポーズ(ポケモンが必殺技を繰り出すときのポーズとでも言おうか)をしているのを見て本当に愛されているなと実感した。本編最後は“XXL”からの“The Abyss”という極上の盆地テクノで華々しく幕を閉じる。

 

 

 アンコールで披露されるは“鴨川等間隔”で会場全体の大合唱を誘う。 個人的にこの曲は岡崎体育というアーティストを表す一曲だと思っており、アンコールの一曲目という位置で披露されたことに大満足である。間奏のエアギターはとても気持ちよさそうで彼を夢の舞台に導いてくれて本当にありがとうと、誰に感謝するわけでもないのだがつい思ってしまった。ライブ前日に岡崎体育Twitterアカウントを見ていたひとならわかると思うが、夜遅くに彼はある曲に関する昔のつぶやきをリツイートしていた。アンコール2曲目は“エクレア”。スクリーンには手書きの歌詞が映し出されており、「いい曲はいい人と共に いい曲はいい人と共に いい曲といい歌はいい人といい場所で いい曲はいい人と共に」を体現していた。

 

 更なるダブルアンコールでは「この場をもって最後になるこの曲で、バチバチに盛り上がって終わりたいと思います」という紹介から“Explain”を披露。≪いつかはさいたまスーパーアリーナで口パクやってやるんだ 絶対≫という歌詞を含むこの曲は、さいたまスーパーアリーナで歌うことで完成するのだ。デビュー時から口にしてきた夢が達成され、見事な歌い納めであった。多くのMVを共に生み出してきた寿司くん(aka.こやまたくや/ヤバイTシャツ屋さん)から「夢の実現によって岡崎体育を終わらせてはならない。ライブの最後にどんな目標をたてるんですかね。」と圧をかけられていた岡崎体育は、新たな目標として2020年2月11日に大阪・エディオンアリーナ大阪大阪府立体育館)で単独公演を行うことを発表。岡崎体育が体育館でライブをせずに誰がするというのだ。今回のライブは到達点ではなく通過点であり、まだまだ岡崎体育の活躍を見届けたいと思えるライブであった。

 

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●セットリスト

 【第1部】

  01.Overture

       02.Open

       03.R.S.P

       04.感情のピクセル

  05.からだ

  06.Naked King

       07.FRIENDS

       08.Horoscope

 

幕間映像①

岡崎体育とバーチャル食事デート体験

 

 【第2部】

  09. 今宵よい酔い

  10.MUSIC VIDEO(short version)

       11.Voice of Heart

       12.フェイクファー

  13.スぺツナズ

  14.龍

  15.Okazaki Hyper Gymnastic

 

幕間映像②

「なにをやってもあかんわ」MV

 

 【第3部】

  16.Stamp

       17.トロッコにのって

  18.オーディオコメンタリー

  19.ポーズ~キミの冒険(medley)

  20.Voice of Heart 2

       21.XXL

       22.The Abyss

 

 (アンコール)

   EN01.鴨川等間隔

   EN02.エクレア

 

 (ダブルアンコール)

  WEN01.Explain